治療費の中に広告費とフォロー費を入れる
販売価格は一般的には「原価+経費+利益」で計算し決定します。
治療家の場合、治療技術を習得するためにかかった費用が、原価になるわけですが、販売するたびに仕入れる必要のある商品と違って、一度、習得すると何年何十年と使うことができるので、ついつい、ざっくりとした計算で治療費を決めてしまう場合が多いのです。
治療費を決めるときに、絶対に経費の中に入れておいたほうが良いのが、「広告費」と「フォローの費用」。この2つを入れておかないと、売上が落ちやすくなるし、打ち上げが落ちた時に、にっちもさっちもいかなくなるからです。
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◘広告費は固定費
新規の患者さんを集客するためには、広告は欠かせないものです。
上手く行かない経営者は、広告費を変動費として捉えています。変動費とは、売上や販売数に比例して増減する経費のこと。つまり、上手く行かない人は、売上を増やしたい時だけ広告費をかけているわけです。
でも、上手く行っている経営者は、ほぼ例外なく、広告費を固定費として捉えています。広告媒体は、チラシであったり、ミニコミ誌であったり、ネットであったりするのですが、毎月決まった金額を広告に使っているのです。
何故なら、広告費は、出したからと言ってすぐに反応が出るものではないから。
例えば、チラシを一度ポスティングしたからと言って、ほとんどの場合、反応はありません。
少し話は飛びますが、ザイアンスの法則をご存じでしょうか?
ザイアンスの法則とは、人や物、サービスに何度も触れることで警戒心が薄れていき、関心や好意を持ちやすくなるという心理的な効果のことで、関心や好意は接触回数と比例します。
つまり、1度だけチラシをポスティングしても反応しませんが、複数回、ポスティングをしていくと、徐々に反応が出てくるということです。
これは、チラシだけじゃなく、他の広告媒体でも同じ。だから、広告費を固定費として捉え、毎月、着実に広告を出している治療院の方が、集客に成功しているのです。
◘フォローの費用も固定費
1.誕生日に何もしてこない治療院
2.誕生日にバースデーカードを送ってくれる治療院
3.誕生日に花束を贈ってくれる治療院
もし、先生が患者の立場なら、どの治療院のファンになりますか?
当然、3の治療院ですよね。
これは、誕生日の話だけではありません。マーケティングで一番、お金がかかるのは集客です。でも、せっかく、大枚をはたいて集客しても、きちんとフォローしておかないと患者さんは簡単に流出していきます。
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ところが、安い値段で治療を行っていると、忙しくしている割に利益が少ないので、患者さんのフォローにお金や時間をかけることができないのです。
フォローにかかる費用は、利益の中から絞り出す必要はありません。
そもそも、治療費の中にフォローにかかる費用を入れておけば、ストレスなくフォローに費用をかけることができるようになるのですから。
◘実は計算しなくても…
治療費を決めるとき、「原価+経費+利益」の経費の中に、広告費とフォロー費用を加えておくことで、安定して患者数を集客し、集客した患者さんの流出を防ぐことができるようになります。
広告費は、売上が少ない時は、月に1万円でも2万円でもいいですので、続けることのできる金額を設定しましょう。
最終的には、売上(治療費)の10~15%は広告費にするべき。例えば、月に100万円の売上が目標なら、最終的には10~15万円が広告費になります。100万円を達成した時の患者数で広告費を割って、治療費の中に入れるようにします。
フォロー代は、どんな内容にするのかで違ってくるので、フォローの内容を決めて、それを患者数で割って、治療費の中に入れます。蛇足ですが、SNSでのフォローなどは外注することもできますので、自分でできない時は、この外注費もフォロー代の中に入れておきましょう。
ただ、現時点で、広告費やフォローの費用を入れて計算するのは、ちょっと難しいかもしれません。それなら、広告費やフォローの費用を入れても十分に利益を確保できるくらいの治療費に設定すればいいのです。つまり、高額に設定しておけば、わざわざ計算しなくてもいいんですね。