治療院経営成功の実学

自由診療を増やす非常識な王道

治療費の値上げができない原因

これまで、たくさんの治療家の先生と話をしてきましたが、「治療費を上げたいですか?」と質問すると、ほぼすべての先生が、「そりゃ、上げたいですよ」と答えてくれました。

 

「じゃぁ、明日から治療費を上げる方法を教えましょう」

「どうすればいいんですか?」

「今日、治療院に帰ったら、今の治療費に二本線を引いて、その上に10,000円と書けばいいんです」

 

そんな風にアドバイスをすると、皆さん、「そんなバカな…」という表情をされるのですが、これ、別にからかって言っているわけではありません。

自由診療を上げる最大のポイントは、このアドバイスのように、思い切って上げることなのです。(もちろん、値上げ後も増患していくためには、ここまでお話ししてきたような準備をしておくことが必要ですが…)

出典:フリー素材.com

でも、これができない先生が多い。

真面目に働いている、治療技術にも自信がある、既存の患者様には評価されている。でも、実際に治療費を上げるとなると、ためらってしまうのです。

 

治療費を上げることができない理由をお聞きすると、よく出てくるのが次のようなもの。

・既存の患者さんに迷惑をかけてしまう

・富裕層が少ない地域だから

・同業が、同じような価格帯でやっているから

・値上げをすると、師匠の先生より高い料金になるから

 

でも、実は、これらは本当の理由ではありません。

多くの先生にとって、一番安い治療費が10,000円と言うのは未知の領域。

未体験の領域に踏み出すには、誰だって怖いもの。だから、もっともらしい理由を並べているだけなのです。

 

だって、「既存の患者さんに迷惑をかけてしまう」と言うのなら、新規の患者さんから値段を上げた新料金にして、既存の患者は既存の料金のままにすればいいだけですし、「富裕層が少ない地域だから」と言っても、治療は、嗜好品などと違って、お金があるから高いものを受けるという類のものではないからです。

 

治療費を上げることを妨げている最大の原因は、未知の領域に踏み出すメンタルブロック。これを解決しない限り、どんなに治療の腕前を高め、たくさんの人に評価をされたとしても、治療費を上げることは難しいのです。

◘治療費は一気に上げる

治療費を上げる提案をすると、よく出てくるのが、「少しずつ上げたらダメでしょうか?」という質問。

例えば、5,000円で治療を行っているなら、いきなり10,000円にするのではなく、6,000円、8,000円、10,000円とステップを踏みながら、徐々に治療費を上げたいというのです。

 

一度に治療費を上げるより、少しずつ上げたほうが、患者さんが感じる負担が少なく、流出を防げるはず…と考えるようなのですが、残念ながら、そうはなりません。

 

一気に上げようが、少しずつ上げようが、治療費を上げると患者さんは流出します。

世の中には、金額が一番の判断基準と言う人が一定数いて、そういうタイプの人は、治療や治療院のことがどんなに気に入っていたとしても、値上げをすると流出してしまうのです。

もちろん、「高い!」と感じる金額には個人差があって、そのラインを超えると流出するので、いくら上げた段階で流出するのは分かりません。

 

6,000円が高いという感覚の人もいれば、8,000円が高いという感覚の人もいて、10,000円が高い日と言う感覚の人もいます。

 

5,000円から6,000円に上げると、6,000円が高いという感覚の人は流出します。

患者数が減った分を、一生懸命集客でカバーして元と同じ患者数に戻したとしても、8,000円に上げると、「6,000円ならいいけど、8,000円は高い」という感覚の人が流出します。

そうやって患者数が減った分を、一生懸命カバーして、元と同じ患者数に戻したとしても、10,000円に上げると、「8,000円ならいいけど、10,000円は高い」という感覚の人が流出します。

 

つまり、徐々に上げると、その度に、せっかく手間暇をかけて集客した患者さんが流出し、また、集客をし直さないといけなくなるのです。

それなら、一気に10,000円に上げて、その金額でも治療を受けるという患者さんを集客したほうがいいのです。