治療費を上げるとみんながハッピーになる
治療費を上げることを妨げている最大の原因は、未知の領域に踏み出すメンタルブロック。
治療費を上げることで、「既存の患者に嫌われたらたらどうしよう」「新規の患者さんが来なくなったらどうしよう」「上手く行かなかったらどうしよう」という不安が頭をかすめて踏み出すことができなくなるのです。
もし、治療費を上げることで、既存の患者さんに好かれ、新規の患者さんも獲得ができ、色んな事が上手く行くことが確約されていたら、誰だって喜んで値上げをしますもんね。
出典:photoAC
◘メンタルブロックの正体
新たな行動を起こすことで、どこかに歪みが発生する。その歪みが、誰かに不利益をもたらすかもしれない…と思った時に、メンタルブロックは発生します。
例えば、治療費を上げることで、既存の患者さんに迷惑がかかるかもしれない…となると、ブロックがかかるわけです。
これが、メンタルブロックの正体です。
でも、ちょっと考えてみると分かるのですが、メンタルブロックって、思い込みに過ぎないんですよね。だって、治療費を上げると、患者さんが迷惑と感じるってのだって、自分の思い込みですよね。実際、治療費を上げたら、患者さんから「前から安すぎると思っていたの」という声を頂いたという先生は少なくないのです。
思い込みという名の呪縛から解放されるには、歪みは無いということを認識すること。
自分の中の思い込みなので、自分の認識を変えることで、メンタルブロックを解消することができるのです。
そして、歪みは、「個人」「周りの人」「より全体」の3つの利益が相反すると思った時に感じます。例えば、自分(個人)は治療費を上げたいけど、それによって周りの人(患者さん)が不利益を被るとなると、歪みを感じるわけです。
ちょっと心理学の話になりますが、多くの人は、「個人」と「その他(周りの人、より全体)」の利益は相反するという価値観を持っています。
これは、そういう教育を受けてきたから。例えば、「自分のことばかりを考えちゃダメ」「そんなことをしたら、みんなに迷惑をかけるでしょ」「皆のために、ちょっと我慢しようよ」といったものです。それに、全体のために犠牲になった人の話を美談として教えられることもあります。
もちろん、そういった教育は、集団生活をする中で大切な価値観です。でも、そういった価値観を持つと、「自分が良くなることで、周りも良くなる方法は無いだろうか?」と考えることができなくなってしまうんですね。
本当に治療費を上げると、「個人」「周りの人」「より全体」のどこかに歪みが発生するのでしょうか?
◘治療費を上げると先生は幸せ?
例えば、現在、5,000円で行っている治療を、10,000円に上げたとします。
単純に計算すると、売上も収入も倍になりますよね。
売上が倍になれば、欲しかった医療機器を導入するなど、設備を充実させることができるでしょうし、内装を変えたり、パウダールームを作ったりして、患者さんに喜んでもらえる治療院にすることができるでしょう。
収入が倍になれば、趣味に使えるお金も増えるし、未来への備えである貯蓄も増やすことができます。それに、収入が倍になれば、休みだって今より増やせるようになります。つまり、自分の自由な時間を増やすことができるのです。
これって、先生にとってハッピーなことですよね。
◘治療費を上げると周りの人は幸せ?
先生の周りの人とは、家族、スタッフ、患者さんです。
倍の収入を持って帰ったら、奥さんは嫌がるでしょうか?いえいえ、喜びますよね。
子どもは、習いたいことを習ったり、遊びにも連れて行ってもらえるから喜ぶでしょう。
売上が増えれば、スタッフの給料を上げたり、福利厚生を充実させてあげることができます。それって、スタッフにとっては嫌なことでしょうか?喜ぶはずです。
では、患者さんは、どうでしょう。
人は、お金をかけたものほど大切にします。毎月、数千円を健康に投資している人と、数万円を投資している人なら、カラダを大切にするのは後者です。
そのため、高額治療を受けている人は、先生が、こうしたほうが良いというアドバイスをよく聞きます。「半身浴をしたほうが良いですね」「ストレッチをしたほうが良いですね」「生活リズムを少し見直してみましょうか」といったアドバイスをすると、それを受け入れて実行しようとするのです。
自宅でセルフケアをする人と、しない人。どちらが早く治るのかは言うまでもありませんね。つまり、治療費を上げると、患者さんは早く健康を取り戻すことができるのです。
早く健康を取り戻すことができて、嫌がる人はいませんよね。
つまり、治療費を上げると、家族も、スタッフも、患者さんもハッピーになれるのです。
◘治療費を上げると、より全体は幸せ?
より全体とは、業界や地域のことです。
いつの時代も、若い世代に人気があるのは高収入の職種。治療家の年収が増えれば、若い世代の優れた人財が治療業界に入ってくるようになります。そうなると、治療業界は活性化します。
優れた若い世代が集まれば、たくさんのイノベーションが起こり、業界自体が発展し、社会的な地位も上がるのです。
それに、健康に対して意識の高い人が増えれば、地域の医療費は下がります。
治療費が社会問題のひとつになっている現代において、これは、大きな地域への貢献でもあります。
このように、治療費を上げると、業界や地域もハッピーになれるのです。
◘上手く行く人の秘密
治療費を上げると、「個人」「周りの人」「より全体」の全てがハッピーになることは理解してもらえたでしょうか。
どの業界でも、上手く行く人は、この3つの利益が一致しています。自分が良くなることが、周りや全体が良くなることと一致しているので、歪みが生じず、メンタルブロックが無いのです。
すると、未知の領域に踏み出すことに戸惑わないし、自分の能力を思いっきり発揮できるので上手く行くんですね。
治療費を上げることにどうしても抵抗がある…という先生は、治療費を上げることで、自分自身、周りの人々、より全体にどんな利益をもたらすことができるのかをイメージして、紙に書き出してみてください。
PS.
中世から近代にかけて、大坂商人、伊勢商人と並ぶ日本三大商人として活躍した近江商人が、「売手善し、買手善し、世間善し」の三方善しを商売哲学としていたのは有名な話。
売手も、買手も、世の中も、善くすることを信条にしていたから、近江商人にはメンタルブロックが無く、能力をいかんなく発揮できたので、発展したんですね。
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