治療院経営成功の実学

自由診療を増やす非常識な王道

自由診療は治療費から考える

自由診療のメニューを作る時、ほとんどの先生は、まず、自由診療の内容を決め、それから、治療費を決めていると思います。

そして、治療費を決めるときの基準で多いのが「施術時間」と「他院の治療費」ですね。

 

つまり…。

治療を行うのに30分の時間を取られるのなら、これくらいの治療費が欲しいという希望。

もしくは、30分の施術時間なら他はこれくらいでやっているとか、同じ症状の治療を他院ではこれくらいでやっているという、他院との比較で治療費を決めているわけです。

でも、この思考プロセスで考えていくと、自由診療を増やすのも、売上を伸ばしていくのも難しくなります。

何故なら、どうしても競合と同じような治療内容を、同じような金額帯で販売することになりやすいので、たくさんある治療院の中から患者様に選ばれづらくなるからです。

 

自由診療を増やし、売上を伸ばすなら、まず、治療費を決め、そこから治療内容を考えるというプロセスで思考すべきなのです。

出典:photoAC

◘治療費の計算式

自由診療の費用は、「施術時間」や「他院の治療費」を基準にするのではなく、「経営が成り立つのか」と「儲かるのか」を考えて決めていきます。

 

まず、経営が成り立つかどうかについてですが…。

治療院を維持していくには、地代家賃や光熱費、通信費、リース料など、毎月かかる費用をきちんと支払うことが必須です。

それから、どんなに好きな仕事でも、収入が無ければ続けることはできませんから、先生の給与もこの中に入ります。

 

次に、儲かるかどうかですが…。

売上を伸ばしていくには新規患者の獲得が必須になります。この集客のための費用を治療費の中に入れます。

あと、患者のフォローをしたほうが、離脱率が下がり、売上は安定しながら伸ばしていくことができますので、その費用も、治療費の中に入れる。

 

そのためには、例えば、固定費が20万円で、欲しい収入が50万円だったとすると、合計で70万円。この「固定費+収入」をベースに、新規患者獲得費を20%、患者フォロー費用を10%、プラスします。

【計算式①】売上目標

・20万+50万+20%(14万)+10%(7万)=91万円

 

営業日数が20日で、1日8時間営業。1人の患者の治療時間が1時間だと、予約がすべて埋まれば、月に160人の患者を診ることができる計算になります。

【計算式②】1か月に治療できる患者数

20日×8人=160人

 

予約の70%埋まった状態で、売上目標を達成できるように治療費を算出します。

【計算式③】治療費

・160人×70%=112人

・91万÷112人=8,125円

 

つまり、上記の条件なら、自由診療の治療費を8,000円以上に設定すればいいのです。

治療家の先生の中には、驚くことに「なんとなく」で治療費を決めている方もいらっしゃいます。

京セラの稲森和夫氏は、「販売価格とは戦略である」と言っていますが、同じ商品やサービスでも価格の設定によって儲かったり、儲からなかったりします。

ですから、感覚で決めるのではなく、「経営が成り立つのか」と「儲かるのか」の基準で、きちんと計算して決めるべきなのです。

出典:photoAC

◘儲かるための費用は固定費

「新規の患者を集める」と「リピート患者を増やす」の2つができると患者数は増えていきます。

 

なんとか経営を成り立たせるために必要な「固定費」と「人件費」を稼ぐことができたとしても、次の売上を作り出すのに必要な新規患者を集めることができなかったり、既存の患者がどんどん離脱していくでは、すぐに経営は苦しくなります。

 

そんな状態にならないようにするには、「新規の患者を集める」と「リピート患者を増やす」ための費用を、「変動費」ではなく、「固定費」として捉え、毎月一定の金額を投資していくこと。

そして、そのためには、治療費の中に、この二つに投資するための費用を入れておく必要があるのです。