治療院経営成功の実学

自由診療を増やす非常識な王道

自由診療の治療メニューを作る

では、1万、2万、5万の3つ治療メニューの内容を考えていきましょう。

数千円で自由診療を行っている先生に、「1万、2万、5万円の治療コースを考えましょう」と提案をしたとき、最初にイメージされるのが、治療費を上げるのなら、その金額に見合った「新しい治療技術の習得」をするか、「治療時間を長くする」です。

でも、新しい治療技術を習得する必要はありませんし、時間も、例えば、1万円の治療が1時間なら、2万円の治療は2時間と言った具合に、治療費と比例して増やす必要はありません。

◘治療メニューの素材を洗い出す

治療メニューは、新しい治療技術を習得したり、新しい機器を導入するのではなく、治療メニューは、今持っているリソース(資源)を組合わせて作ります。

「先生が習得している治療技術」「治療に付随する知識」と「自院にある機器や設備」を紙に書き出して、持っているリソースを視覚化します。

これは、料理を作る時も、機械を組立てるときもそうですが、材料や素材を目に付くように並べることで、「これとこれを組合わせれば、これができるな」という発想がしやすくなるからです。

出典:photoAC

◘治療メニューを組立てる3つの視点

治療メニューの組み立て方は、「症状」「技術」「プラスオン」の3つ視点で考えると考えやすくなります。

この3つの視点は、治療メニューの組立てを考えやすいように分類したもので、3つの視点が明確に分かれているわけではありません。ですから、実際に自由診療メニューを組立てるときは、一度、それぞれの視点で考えてみて、それを組わせることでメニューを決めていくようにしてください。

◇症状の視点

症状によって治療費を分ける視点です。

症状が重篤になればなるほど、それを治療するには、より専門的な知識や技術が必要になります。それに、治療時間も長くなるかもしれません。

病院でも盲腸の手術と心臓の手術では手術費は異なるのですから、治療院でも症状によって治療費が高くなっても問題ありません。

例えば、1万円は、慢性的な肩こりや腰痛といった一般的な症状。そして、重篤な症状は、2万円、5万円にするという感じで、治療メニューを考えてみます。

 

◇技術の視点

治療に使用する技術数で治療費を分ける視点です。

治療家の先生は勉強熱心で、いくつかの治療方法と、それに伴うテクニックを習得されていると思います。そして、症状によって、いくつのテクニックを使うのかは異なるはず。

技術は目に見えないものですが、その習得には時間とお金がかかっています。つまり、治療家にとって技術は原価のかかった原材料で、この原材料を使って治療という商品を提供しているわけです。

世の中でも、たくさんの原材料を使ったり、高い原材料のものを使った商品は高額になります。ですから、使用する治療テクニックの数で治療費が異なるのは当然のことなのです。

例えば、治療テクニックを10個持っているとして、1万円は3テクニックまで、2万円は5テクニックまでという感じで、治療メニューを考えてみます。

 

◇プラスオンの視点

プラスオンとは、治療に何かをプラスするかで治療費を分ける視点です。

例えば、姿勢矯正なら1万円。それに、セルフケアをするための動的ストレッチや、歩き方の指導などを加えると2万円。スポーツ障害の治療なら1万円。それに、ランニングの仕方や、トレーニング方法の指導を加えると2万円と言った具合にです。

プラスオンできるのは、治療に付随する知識だけではありません。治療機器を加えることもできますし、動きやすいカラダを作る筋膜リリースとゴルフのスイング分析をする機械を組合わせている治療院もあります。

◘柔軟に思考してみる

視覚化した「先生が習得している治療技術」と「自院にある機器や設備」を見ながら、「症状」「技術」「プラスオン」の3つ視点で考えて、自由診療メニューを組立てていきます。

例えば、1万円はオーソドックスな治療。2万円はパーキンソンに特化した治療。5万円は、医療機器や指導を加えた内容にする…と言った感じで、「症状」「技術」「プラスオン」を組合わせ、治療メニューを組立てもいいでしょう。

そうやって考えると、どの治療院でも、1万、2万、5万円の治療メニューを考えることは難しくありません。

重要な部分なので繰り返しますが、治療メニューは、今ある資源を使ってできるものを作ること。高額であったとしても、その魅力を伝えることができれば、自由診療を受ける患者を増やすことはできますので、まず、自院で販売する治療メニューを組立てましょう。